僕は自由気ままに書きます。意識の中に流れる思考を掴みとり、それらを言語化し、紙面に並べます。そうやって書いていると、文章というものが生れ、その中に何かの意味らしきものが見えてきます。この段階で、「俺はこういうことを書こうとしているんじゃないかなぁ」と、ようやく僕自身が書きたいことのぼんやりとした輪郭が見えてきます。自分が書いた文章を読み直し、誤字脱字を直し、日本語文法がおかしい箇所を直し、バランスを整えていきます。そして、誰かに読んでもらうときには、まともな文章になっています。これが、僕の文章の書き方です。内田樹さんは著書の中で文章の書き方について鋭い指摘をしています。
(村上春樹の作品には料理を作るシーンが多いということを踏まえて:沙魚川補足)
料理の基本と言うのは「ありものの使い回し」です。冷蔵庫の中をみると、賞味期限が微妙にずれている様々な食材がありますね。脇のドアには、やはり賞味期限が切れ始めている調味料がある。それらありあわせの食材を使って、まず自分の身体が今求めているメニュー、求めている感触、それに合わせて飲みたいお酒、一緒に読みたい本、聴きたい音楽、観たい映画などなどを勘定に入れて、一つの作品を作り上げてゆく。
それができるためには、ものごとを重層的に「スキャン」する能力が必要になります。「今ここでキャベツを使っちゃうと、明日の朝のサラダの材料がなくなるし……」とか。いろいろなことを考えているんです。料理を作る人間は、賞味期限ぎりぎりの「ありもの」をすべてきれいに使い尽して、かつそれぞれの食材がもつパフォーマンスを最大限に活かしたかたちで料理を作ることで大きな達成感を得ることができる。
村上さんは、この「ありあわせの材料」で「ふつうの料理」を作る場面を、実に丹念に書き込みます。まず、メニューを決めて、それから材料を買い揃えて、手の込んだ料理を作るという場面は(あれほど多くの料理場面がありながら)、僕には記憶がありません。つねに、ありものの使い回しです。この「ありものの使い回し」という構えは作家村上春樹の世界観にまっすぐ結びついていると僕は思います。
僕たちの生きる条件というのは「すでに与えられたもの」です。生れる国も、どんな両親の子どもに生まれたかも、身体能力や知的能力のベースになる部分も、自分では選択できません。それらは、すでに与えられている。僕たちはそこに「投じられる」というかたちでこの世界に誕生する。使えるものはこれしかない。僕たちにできるのは、与えられた手持ちの資源でなしうる最良最高のパフォーマンスを達成すること、それだけです。それは「ありものの食材」で作ることのできる最良の料理をサーブするという構えと本質的に同一のものだろうと僕は思います。
『もういちど村上春樹にご用心』(内田樹)ご飯を作るシーンと掃除をしているシーンより
君らがこれから書くことになるのは、高校入試のために必要な文章であり、書かなければならないのは、自己PRだったり、自分についてだったり、自分の将来の夢についてだったり……とにかく、「自分」についてです。内田さんの文章には、自分について書くヒントがあると僕は思います。「ありあわせ」の自分の中にあるもので、何を書くか。「あぁ、もっと頭がよかったらなぁ」とか、「もっと勉強していればなぁ」とか、「家がもっとお金持ちだったらなぁ」とか、無い物ねだりをしても何も書けません。また、持っていないのに、あたかもそれを身につけているように虚勢を張った文章を書くことも僕は推奨しません。十中八九ばれるから(どうしてばれるのか、どこかで説明しましょう)。
でも、だからといって、自分がすでに持っているものが何なのかわからない……という人が多いと思います。そして、「自分探し」などを始めたりしますが、これはちょっと違います。「自分探し」は、内田さんの文章を踏まえるならば、自分の冷蔵庫の中を見て、「いい材料がねぇな」と言い、冷蔵庫の他の場所を探す。そして、「ここにもねぇなぁ。俺が作りたい料理を作れる材料は、こんなもんじゃねぇよ!」と、延々と材料探しをしているようなものです。そうではない。
まず、必要なのは、冷蔵庫の中身を確認することです。例え、中に入っている材料が腐っていても、自分の嫌いな食材であったとしても、とにかく奥の奥まで見て、隅から隅まで何が入っているのかを確認することです。そして、何よりも重要なのは確認したあとで、それらで何を作れるか想像力を最大限に働かせて考えることなのです。
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