こんにちは。ノーバス武蔵小杉校の高井です。
今回は皆さんに『読書』というものについて、そのなかでも一般に『児童文学』と呼ばれているものについてお話ししたいと思います。皆さんは『児童文学』と聞いて何をイメージしますか。「親が幼い子供に読み聞かせるための本」でしょうか。もちろんそれも正しいでしょう。しかしそれは児童文学の一面に過ぎないのではないでしょうか。私自身、児童文学の多くは、中高生はもちろんのこと、大人にとっても充分に役に立つものだと思っています。
そこで、私が気に入っている作品の一つであるサン・テグジュペリ作の「星の王子さま」を紹介します。物語は次のような冒頭から始まります。
操縦士の主人公は砂漠に不時着し、1週間分の水しかない中、たった一人で砂漠をさまよいます。そんなとき、1人の少年と出会う。少年と会話するうちに、少年がある小惑星からやってきた王子であることを知るのです。
この作品の中で王子は様々な「大人」たちと出会います。自分の体面を保つことに汲々とする王や、酒を飲む事を恥じ、それを忘れるために酒を飲む呑兵衛、1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯の点火や消火を行なっている点燈夫などなど…。
ここで注目すべきなのは、ここに登場する大人たちが、現代を生きる大人たちの生き方を象徴している者たちばかりだということです。「星の王子様」は、大人たちの生き方への皮肉も込めて、「真に生きること」の意味について読者に考えさせる作品となっています。
このように、「星の王子さま」をはじめとする児童文学には、表現は月並みであったとしても、鋭く物事の本質を捉え、私たちに対し生きる上での価値観や姿勢を問うものが多いと思います。皆さんも、初心にかえりたいときや心を落ち着かせたいとき、幼いころに繰り返し読んだ、懐かしいストーリーに思いをはせてみては、いかがでしょう。
最後に、「星の王子さま」作中で王子さまと友達になったキツネの言葉を引用します。
私の好きな言葉です。
Here is my secret. It is very simple:
It is only with the heart that one can see rightly; what is essential is invisible to the eye.
僕の秘密を教えてあげる。とっても単純さ。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。」
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